松川さん

今日はいきなり、プログラムの話からします。僕のこの5年間で一番好きなプログラムは ダントツでgitで、今ではマゾ言語の(安全でGCがない)rustでそれをああでもない、こ うでもないと実装し直すのが趣味になっています。実際内部では、コミット間の integrityいうんですか、完全性を担保するのにハッシュで連結リストでブロックチェー ンみたいな事(オブジェクト管理はハッシュ木)があって、ソフトウェアエンジニアリングという意味でも興味深いし、分散 システムの仕組みを知るのにもってこいなんです。どうですか、プログラミング教育に git実装演習ってすごいいいと思うんですけど?

時代もライナスの最初のコミットが2008-9年で、丁度サトシの論文とも近くて、githubの 台頭も含めて時代を代表するプログラムです。分散バージョン管理と謳ってるだけあって、 ブランチ切ったり、フォークしたりとそれこそツリー構造を作りながら、プログラム自体 が成長する様が歴史や記述が自動的に可視化される様はプロセス論としても大変興味深い。

gitを使っていてこんな風に思っている人はすごい少数だとは思っているのですが、どの バージョンをせいとするかの合議プロセスでもあると思うのです。実際gitの使い方でワ ークフローを解説しているところでは、フラットな草の根の開発の仕方もあれば、独裁政 治的な使い方も両方できる例が示されていて、ライナスのlinuxでの運営は後者です。イ ンターネットがそのほかの中央のメディアを内包したものであるように、gitもまた中央 でも分散でもどっちでもできるよプログラムです。以上の理由でgitそのものが好き。な んでって要するに進化論的設計手法だと思うんです。いかがですかそう見えますか?

もう一つは各種パッケージマネージャで、これは方法論でいうとリゾームというか、東浩 紀さんの動物化するポストモダンにも近いようなデータベース的創造手法を肌で感じます。 さっき言ってたrustもそれが結構コアな部分に取り込まれていて、インストールした瞬間 に各ライブラリのどのバージョンが使われているか、参照の記述をログ取りする仕組みが 取り込まれています。それと当然gitは相性が良い。まだまだしょぼいですが、pythonの pipやnodeのnpmとか、コミュニティが大きい新参言語ほどそう言ったインフラに力が入っ ています。C++なんかすごい前からその試みあったみたいなんですが、なかなかそのプロ トコルの部分が落ち着かないみたいなんです。それぞれのプログラムがリゾーム型に参照 しあいつつ、成長そのものはツリーで管理みたいな。

昔角田さんとやったlmnでもそうですが、何か形を生成するアルゴリズムそのものという より、人間の創造活動を取り仕切る仕組み自体をどうやったら建築とか都市計画に落とせ るかを野望としています。藤村さんの取り組みは(機械言語を使ってないやつは)その方 向に向いているので、その辺もお聞きしたいとおもっています。

論文なんかもgitがしたらどうか見たいな研究がMediaラボでは行われていて、先日Joiさ んと話してご紹介いただいたのが、学問体系そのものの分岐を議論してる座談会で、セス ロイドとかニール・ガーシェンフェルトとかが今のところそれを可視化する術がないから、 学問そのものがまだまだ固定してると言ってたりします。

だいぶ建築とか都市から離れました。じゃあこれで、面白いと思っているソフトウェアエ ンジニアリングと建築とか都市ではどんな事が言えるかそこが話の要点になります。

外せないのが海市でしょう、連歌形式でした。プロジェクトとして面白い上に、教育効果 も効率的だと思ったので、とりあえず高校生対象のワークショップに一人一色色鉛筆を持 たせて、連歌形式をさせました。普通にじゃあ都市計画だから好きな街計画してみてって のと比較していないのですが、まあ色々面白かったです。

もう一つやらなきゃは、すでに暗黙的に存在する類例を探すです。 もう使い古されてますが、伊勢神宮もそうでしょう。インクリメンタルに改良していく意 味でも。でもあれはフォークしない。藤村さんもフォークしない。フォークしている例でわ かりやすいのが、都市の例だと中華街だと思っています。全ての都市は言ってみればそう なんですが、(実際は色々あるようですが)中華街というOSもしくは生き物が中国からな んらかの要請で分岐、結局横浜の奴は日中戦争を乗り越えてまだ生きてる状態ってgit的 に面白いと思ってるんです。いろんな例がある中で、建築デザインに限ればもうそろそろ かなと思っていて、それはいかがでしょうか?

藤村さんの知のかたちの本を読んでいて、少しずつですが、ライブラリ化していく過程も 見えてきました、教会型とか駅舎型とかなんとか言って。合議のプロセスっ て色々なレイヤーで参照が行われているなと、東さんのDBだなと。標準詳細や特記での参 照もあれば、駅舎型と言ったレイヤーもあれば、坂茂テイストもあります。今後そう言っ たリミックス建築があるとして、それを記述できるメディアが存在するとしたら、それは 多分いろんなレイヤーを参照しないといけないと思うんです。参照関係にもか、かた、か たちの中のどれを選ぶか、恐らくこれで生成されるものの豊かさが変わるかと思います。

個別の政策とそれの集合である代議員との差が無い民主プロセスとして、どこかしこで言 われているリキッドデモクラシーに注目しています。一言でいうと、直接民主と間接民主 制を包含した投票のシステムで、自分の票を分割することで、直接的な政策とい間接的に 代議員に委任することができる仕組みのことです。 スマートニュースの鈴木さんがなめてきで十年前に提唱したりしてるやつと一緒です。メ カニカルに面白い部分もあるのですが、鈴木さんも書いている通り、矛盾を許容するシス テムである所が決め方として新しいんだと思います。建築に戻ると、今は業界の規範とし て、どうやってこの矛盾を許容する学問とするかな気がします。

スマートシティの話とか、色々自由ディスカッション